このスクリーニングが向いている人
「機関投資家が手出しできない小型市場で、品質も割安度も同時に高い銘柄を発掘する」個人投資家ならではの優位戦略を採りたい中上級投資家向け。リンチが「自分のいる業界・地元で見つける優良企業」と語ったタイプにあたる。時価総額500億円以下、ROE 15% 以上、PER 15 倍以下という三条件すべてをクリアする企業は、東証全体で 30-100 銘柄程度。「市場の見落とし」が起きやすい領域。
スクリーニング条件
| 条件 | 閾値 | 意図 |
|---|---|---|
| 想定時価総額 | 500億円未満 | 機関投資家のカバレッジ薄い |
| ROE | 15%以上 | 資本効率の高さ=品質の証 |
| PER | 15倍以下 | 市場期待が乗り過ぎていない |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 倒産リスク低い |
| 営業利益 | プラス | 黒字 |
ROE 15% × PER 15 倍は「品質と割安が両立している」証拠。市場が品質を認知していれば PER 25-40 倍に押し上げられるはずなのに 15 倍以下で取引されている、ということは何らかの「見落とし要因」がある。それが「時価総額が小さくて機関がカバーしない」だけなら、長期的に再評価される可能性が高い。
なぜ「3条件すべて」なのか
ROE 15% だけだと、PER が高い「品質銘柄」も入る。PER 15 倍以下だけだと、ROE が低い「ただ安いだけ」も入る。時価総額500億円以下だけだと、業績が悪い小型株も入る。3 つすべてを要求すると、
- 品質: ROE 15% 以上で資本を効率的に利益化
- 割安: PER 15 倍以下で期待が過剰でない
- 小型: 機関投資家のカバーが薄く、再評価の余地が大きい
の組み合わせが揃った銘柄に絞れる。これは「成熟した優良企業の小型版」「テンバガー候補の入口」のいずれかに該当する確率が高い。
落とし穴・注意事項
①「市場が見落としている理由」がネガティブな場合がある。 PER 15 倍以下に放置されている理由が、
- 主力顧客集中(売上の 50% が 1 社依存)
- 創業家が高齢で後継者不在
- 監査法人交代・会計疑義の履歴
- 過去の業績下方修正・粉飾疑惑
など、構造的な懸念材料による場合は再評価されにくい。本スクリーニング該当銘柄を買う前に、市場が低評価している理由を必ず特定する。
②流動性ディスカウントは構造的。 時価総額が小さい銘柄は、機関投資家が組み入れる際の流動性制約から、構造的に PER が低く付けられる。これは長期的に解消するとは限らず、永遠に「割安に放置」され続けるケースもある。出来高・売買代金を確認し、最低限の取引量があるかをチェック。
③ROE 15% の継続性。 単年だけ ROE 15% を達成した企業は、特益・為替差益・税効果でかさ上げされている可能性がある。直近5年で連続して ROE 12% 以上、できれば 15% 以上を維持できているかを確認する。
④小型株プレミアムへの転換リスク。 何らかのきっかけ(業績上方修正・大型受注・テーマ株化)で人気化すると、PER 15 倍 → 30-50 倍まで一気に切り上がる。その後成長率剥落で PER が再び圧縮されると、株価は半値以下に。タイミングの目利きが要求される。
⑤主力顧客集中度。 BtoB 小型企業は、売上の 30-50% を 1 社に依存しているケースが多い。有報の「主要な販売先」開示で確認し、集中度が高い場合はその顧客との関係性・契約期間・代替性を別途調査する。
業種別の特徴
- 電子部品・FA・産業機械: ニッチトップが多い、隠れ優良の本命業種
- 特殊化学・電子材料: BtoB で技術差別化があり PER が低めに付く
- 建材・住設: ブランド力と地域寡占で優良企業多数
- 専門小売(高単価特化): ブランド力で利益率高いが認知度低い
- BtoB ソフトウェア・受託開発: 顧客集中度に注意
該当銘柄を見つけた後のチェックポイント
- 5年以上のROE推移: 安定的に15%以上を維持してきたか
- 主力顧客の集中度: 売上の上位顧客シェア、特定業種依存
- 株主構成: 創業家比率、機関投資家比率、流動株比率
- 株主還元方針: 配当性向、自社株買い実績、東証PBR要請対応
- 競合環境: 参入障壁、業界内シェア、海外展開の余地