事業概要
富士製薬工業は、医薬品の開発・製造・販売を主力事業とする企業です。特に、産婦人科領域のホルモン剤や放射線科領域の尿路・血管造影剤といった注射剤を中心に、全国5拠点で事業を展開しています。連結子会社であるOLIC(Thailand)Limitedとの間で製品売買や資金貸付なども行っており、グローバルな事業基盤も有しています。同社は単一セグメントとして医薬品事業のみを展開しており、その事業内容は多岐にわたります。長年にわたり女性医療分野に注力しており、この分野での貢献と成長を事業の核と位置づけています。
直近決算ハイライト
2025年9月期(当連結会計年度)の売上高は516億77百万円と、前年同期比12.0%増を達成しました。これは、女性医療領域の新薬「アリッサ配合錠」や既存製品、ウステキヌマブBS皮下注45mg「F」を中心としたバイオシミラー事業の拡大、そして田辺三菱製薬から承継した製品などが貢献した結果です。利益面では、売上増に加え、研究開発費の負担減(新製品契約一時金の計上なし)により、営業利益は49億90百万円と、同28.6%増となりました。一方で、デリバティブ評価損の計上などにより経常利益は44億59百万円(同0.3%増)となり、前期の一過性利益の反動もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は30億円(同51.2%減)となりました。
強みと競争優位性
富士製薬工業の強みは、長年にわたり培ってきた女性医療領域における専門性と、その分野での事業拡大戦略にあります。特に、月経困難症治療薬「アリッサ配合錠」や「エフメノカプセル」などの製品ラインナップは、拡大が見込まれる国内女性医療市場において競争優位性を発揮すると考えられます。また、バイオシミラー事業では、2029年を見据えた普及目標が示される中、既に上市済みの製品に加え、2025年9月には新たに3製品の製造販売承認を取得しており、ラインナップ拡充による貢献拡大が期待されます。さらに、タイと日本を拠点とするグローバルCMO(医薬品受託製造・開発)事業も、地政学的リスクの低さを活かし、欧米企業からの受託案件獲得に繋がっており、成長ドライバーとして位置づけられています。
リスク要因
同社は医薬品メーカーとして、医薬品医療機器等法をはじめとする厳格な法的規制を受けるリスクを抱えています。許認可の取り消しや関連法規の改正は、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品の研究開発においては、臨床試験の失敗や外部関係者との問題により、開発遅延や中止に至るリスクがあります。原材料価格の高騰や調達困難、予期せぬ副作用・品質問題による製品回収・販売中止のリスクも存在します。さらに、競合他社との価格競争、薬価改定、訴訟リスク、ITセキュリティリスク、そしてデジタル化への対応遅れなども、業績に影響を与える要因となり得ます。
投資テーマとの関連
富士製薬工業は、「女性医療」と「バイオシミラー」という二つの明確な成長戦略を推進しており、これらは現代の医療・ヘルスケア分野における重要な投資テーマと合致しています。女性医療分野は、疾患認知の遅れや受診率の低さなどから、日本国内でも大きな市場拡大の余地があり、同社はこの分野に注力することで、未充足な医療ニーズに応え、社会課題解決に貢献する企業として注目されます。また、バイオシミラーは、医療経済的な観点から普及が加速しており、同社のラインナップ拡充は、医療費抑制に貢献するテーマとして投資家の関心を集める可能性があります。グローバルCMO事業も、医薬品サプライチェーンの多様化という観点から、関連テーマとして捉えることができます。