このテーマとは

ジェネリック医薬品テーマは、新薬の特許期間満了後に同一の有効成分・効能効果で製造・販売される後発医薬品を扱う。具体的には、(1) ジェネリック医薬品(経口剤・注射剤・外用剤)、(2) オーソライズドジェネリック(先発メーカーが許諾する後発品)、(3) バイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)、(4) 原薬(API)製造、(5) 製剤受託製造(CMO・CDMO)、(6) 後発品流通・卸売、(7) 海外展開(米国・欧州・新興国)、までを射程に入れる。

事業環境は、薬価制度(毎年改定方式)、ジェネリック使用促進策、品質規制(GMP)、サプライチェーン安定供給規制、で形成される。日本のジェネリック使用率は数量ベースで約8割に達しており、量的拡大段階は終了し、質的成熟期に入った。

なぜ注目されているのか

第一の構造変化は、品質問題と業界再編。2020年代前半、ジェネリック大手で品質不適合・行政処分が相次ぎ、業界全体で生産体制・品質保証の見直し、業界再編・大型 M&A・統合の動きが加速した。生産能力の選別、品目数の絞り込み、品質投資の増加で、業界の収益構造は大きく変わりつつある。

第二に、安定供給と原薬・製造の国内化。新興感染症・地政学リスク・原薬輸入依存の問題から、原薬・製剤の国内・近隣諸国生産への回帰が政策的に推進されている。原薬国産化補助金、製造設備強化支援などの政策措置が継続しており、これは大手ジェネリック・原薬メーカー・製剤受託(CMO/CDMO)にとっての成長機会である。

第三に、バイオシミラー市場の拡大。先行バイオ医薬品の特許切れに伴うバイオシミラーの上市が国内外で進行している。抗体医薬品・バイオ製剤のバイオシミラーは、低分子ジェネリックよりも開発・製造のハードルが高く、参入企業は限定的だが、市場規模は急速に拡大している。

第四に、海外展開と CMO 事業の伸長。米国・欧州・新興国のジェネリック市場で、コスト競争力・品質・規制対応のある企業が成長機会を得ている。CMO・CDMO は、新薬企業からの製造受託、ジェネリック企業からの製造受託の両方で需要が安定している。

逆風は薬価抑制圧力の継続。日本の毎年薬価改定でジェネリック医薬品も継続的に薬価引下げ対象となり、利益率は構造的に圧迫される。生産能力過剰、品目数過多も業界再編の長期テーマである。

関連する事業領域

含まれる業種は、医薬品(ジェネリックメーカー・原薬メーカー・バイオシミラー)、化学(原薬・中間体)、卸売業(医薬品卸)、サービス業(CMO/CDMO・医療機関連携)、医療機器(投与デバイス)など。

「ジェネリック銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) ジェネリック専業大手と、新薬と後発品の両事業を持つ製薬大手で収益構造・成長性が違う、(b) 低分子ジェネリックとバイオシミラーで、参入障壁・利益率・市場規模が大きく異なる、(c) 原薬専業・CMO・流通・最終製品メーカーでバリューチェーンの位置取りが異なる、という点。

財務的にどう評価するか

ジェネリック医薬品テーマで最初に見たいのは、品目構成・薬価ベース売上・数量ベース売上の動向である。薬価改定の影響、新規上市品目、特許切れ間近の先発品からの後発品立ち上げスケジュール、を組み合わせて中期売上見通しを立てる。

利益面では、品目別粗利率(特許切れ直後の高利益品と長期収載の低利益品)、製造コスト・品質投資の構成、海外売上比率、を分解して見る。品質投資・GMP 対応コストは継続的に増加傾向であり、生産能力の集約・効率化が利益率改善の鍵を握る。

落とし穴は3つ。第一に、薬価改定の影響度合いは品目構成で大きく異なる。長期収載品比率の高い企業は薬価引下げの影響が大きい一方、新規ジェネリック・バイオシミラー比率の高い企業は相対的に影響が緩和される。第二に、品質問題・行政処分は会社単独では予想困難で、発生時の業績インパクトが大きい。過去の処分歴・GMP 投資状況のチェックが重要になる。第三に、原薬の海外調達依存は供給途絶・価格急騰リスクを持つ。原薬国内化・複数調達の対応状況を確認したい。

中長期では、品目選別・絞り込みの進展、バイオシミラー事業の規模化、CMO/CDMO 事業の拡大、海外売上比率、品質投資による安定供給体制、業界再編による事業基盤強化、が事業価値の指標になる。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 品目構成と長期収載品比率、(b) バイオシミラー・CMO 事業の構成、(c) 海外売上比率、(d) 品質投資・GMP 対応状況、を最低限チェックしたい。

関連テーマの創薬遠隔医療介護健康食品がん治療 と併読すると、ジェネリック医薬品が医療費抑制・安定供給・経済安全保障の交差点で動く政策連動型事業であることが立体的に見える。