このテーマとは

メタバーステーマは、アバターを介して 3D 仮想空間・XR 空間でコミュニケーションや体験を行うサービス・基盤・コンテンツ全般を扱う。具体的には、(1) 仮想空間プラットフォーム(オープンワールド型・ソーシャル型・イベント特化型)、(2) アバター・モーション・ボイス変換ツール、(3) バーチャルライブ・バーチャルイベント運営、(4) バーチャル展示会・バーチャルオフィス・バーチャル教育、(5) NFT 連動アイテム・スキン・ファンクラブ、(6) 関連デバイス(VR ヘッドセット・MR デバイス)、(7) 開発エンジン・SDK、までを射程に入れる。

メタバースは厳密な定義のある技術ではなく、複数のレイヤー(プラットフォーム・コンテンツ・デバイス・経済圏)の組み合わせで成立する概念で、用途・利用デバイスによって境界が広がる。

なぜ注目されているのか

第一の追い風は、BtoB 業務・教育用途への展開である。バーチャル研修、バーチャル展示会、バーチャル工場視察、リモート営業、グローバルチームコラボレーション等、現実空間では実現が難しいシナリオを、3D 空間とアバターで再現する用途が、企業導入として広がっている。法人向けには ROI が説明しやすく、継続契約に結びつきやすい。

第二に、ライブ・イベント・ファンクラブ事業の定着。バーチャルライブ、Vチューバー(VTuber)配信、ゲーム内コンサート、バーチャルアイドルグループなど、既存のエンタメ産業がバーチャル空間に拡張する動きが定着しつつある。投げ銭・グッズ・チケット・ライセンスなど多角的な収益源を持つ。

第三に、デバイスの世代交代と AI 活用。新世代の MR デバイスはディスプレイ画質・パススルー・空間認識が大きく改善し、生成 AI による NPC・アバター応答・コンテンツ自動生成で、メタバース体験の質と運営効率が上がっている。

第四に、コンテンツ・IP のメタバース展開。アニメ・ゲーム・アーティストの IP を仮想空間に持ち込む動きが続き、コラボイベント・限定アイテム販売・ファンコミュニティ運営で、IP のマネタイズ経路が広がっている。

逆風はコンシューマー領域の収益化の難しさ。BtoC メタバースの月間アクティブユーザー数や課金率は、ゲーム機ほどには伸びておらず、プラットフォーム単独での黒字化に時間がかかる例が多い。一時の過熱は落ち着き、現実的な成長軌道に乗せ直すフェーズに入っている。

関連する事業領域

含まれる業種は、情報・通信業(プラットフォーム・SaaS・配信)、サービス業(イベント運営・教育)、ゲーム・コンテンツ業(ゲームエンジン・IP コラボ)、電気機器(XR デバイス・センサ)、化学(光学材料)など。

「メタバース銘柄」と一括りにすると見落とすのは、(a) BtoC エンタメ(不確実性大)と BtoB 業務向け(成長率穏やかでも安定)でビジネスサイクルがまったく違う、(b) プラットフォーム事業者・コンテンツ事業者・デバイスメーカーで、ビジネスモデル・利益率・収益安定性の構造が異なる、(c) IP 連動型は IP 提供元との契約条件で利益配分が決まる、という点。

財務的にどう評価するか

メタバーステーマで最初に見たいのは、メタバース関連事業の売上規模と、それが BtoC か BtoB かである。BtoC ではアクティブユーザー数・月次課金額・コンテンツ売上、BtoB では契約社数・契約単価・継続率、が基本指標になる。多くの企業ではメタバース関連事業はセグメントの一部にとどまり、決算説明資料・適時開示で個別言及される情報を集める必要がある。

利益面では、初期開発投資・コンテンツ調達・運営人件費が先行して計上され、安定収益化までにラグがある。BtoB 受託・SaaS 型は利益化が安定する一方、BtoC ヒット型は規模が大きいが赤字フェーズが長期化する例も多い。

落とし穴は3つ。第一に、メタバース関連はテーマ性で大きく株価が動き、実態の利用状況・収益化進捗が伴わない局面で逆ブレすることが多い。第二に、IP コラボ・ライセンス型は契約期間・条件で売上が大きく変動する。第三に、研究開発・コンテンツ投資の長期化で減損計上の事例が業界全体で発生しており、メタバース事業の中長期収益化見通しを見極める必要がある。

中長期では、BtoB 顧客基盤の拡大、自社プラットフォームの維持・成長、IP・コンテンツ資産、AI・XR デバイスとの統合度合い、グローバル展開、が事業価値の指標になる。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) メタバース関連事業の売上規模と現状損益、(b) BtoC/BtoB の構成、(c) アクティブユーザー・契約社数の推移、(d) 研究開発・コンテンツ投資の規模、を最低限チェックしたい。

関連テーマのVR/ARゲームSNS動画配信コンテンツブロックチェーン と併読すると、メタバースが単独技術ではなく、デバイス・コンテンツ・コミュニケーション・経済圏の交差点として動いていることが立体的に見える。