このテーマとは
省エネは、産業・建築・運輸・家庭部門のエネルギー消費を削減する技術・設備・サービスを総称する分野。具体的には、(1) 高効率モーター・インバーター、(2) 産業用ヒートポンプ・廃熱回収、(3) 高断熱建材・LED照明・空調制御、(4) ビルエネルギー管理(BEMS)・住宅エネルギー管理(HEMS)、(5) 高効率輸送機器(電動車・燃費改善技術)、(6) 省エネSaaS・コンサルティング、を含む。
本テーマには、省エネ機器メーカー、省エネ建材メーカー、省エネエンジニアリング、エネルギーマネジメント事業者(ESCO:Energy Service Company)、省エネSaaS事業者まで広く該当する。
なぜ注目されているのか
省エネは、脱炭素・電力コスト上昇・規制強化の三重要因で需要が拡大している。
(1) 脱炭素:企業のScope 1・2排出量削減(自社のCO2排出削減)の最も即効性ある手段が省エネ。再エネ調達・燃料転換と並んで、設備更新による省エネは投資回収期間も短く、優先度が高い。
(2) 電力コスト:エネルギー価格は2022年のロシア・ウクライナ戦争以降、構造的に上昇基調。製造業の電力コスト負担が増し、省エネ設備への投資回収期間が短縮された。電力料金の値上げは中小企業を含む全産業の経営課題となり、省エネ投資のニーズを押し上げている。
(3) 規制強化:省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の改正で、エネルギー使用量の多い「特定事業者」に省エネ計画の提出と非化石エネルギー転換が義務付けられた。建築物省エネ法も改正され、2025年4月からすべての新築建築物に省エネ基準適合が義務化される。これらは省エネ設備・建材の需要を構造的に拡大させる。
技術トレンドとしては、(a) ヒートポンプ式産業用熱源(化石燃料ボイラの代替)、(b) AI制御による空調・照明最適化、(c) ペロブスカイト太陽電池をはじめとした次世代発電と省エネの統合、(d) 工場のIoT・予知保全による効率化、が成長領域となっている。
関連する事業領域
含まれる業種は、電気機器(高効率モーター・インバーター・LED照明・制御機器)、機械(ヒートポンプ・コンプレッサー・空調機器)、建設業(省エネ改修工事・断熱施工)、化学(断熱材・特殊塗料)、ガラス・土石製品(複層ガラス・高断熱建材)、その他製品(家電・住設機器)、サービス業(ESCO・省エネコンサル・エネマネSaaS)など。
省エネのサブテーマとしては、(a) 産業用省エネ機器(モーター・空調・熱源)、(b) 建築用省エネ建材・設備、(c) エネルギーマネジメント(BEMS/HEMS/FEMS)、(d) ESCOサービス(省エネ投資の成果報酬型)、(e) 輸送機器の燃費改善、で需要・収益構造が異なる。
財務的にどう評価するか
省エネ関連企業の評価軸は、(a) 省エネ関連売上の構成比、(b) 営業利益率、(c) 受注残・新規案件パイプライン、(d) ストック収入(保守・運用契約)の比率、を見る。
省エネ装置メーカーでは、規制施行や補助金制度の変更が需要のタイミングを左右する。営業利益率は装置単発販売中心で10〜15%程度、保守・サービス比率の高い企業では15%超を取れる場合もある。建築用省エネ建材は、新築着工件数・改修需要に連動するため、住宅・建築市場全体のサイクルに業績が動く。
ESCO・エネマネSaaSは、(a) 契約件数・継続率、(b) 1件あたり保証削減量、(c) ARR成長率、を見る。SaaS型は粗利率が高く(50%超)、評価倍率も高めに付きやすい。
落とし穴は、(1) 補助金頼みの需要(補助金終了で受注急減)、(2) 「省エネ関連」と打ち出していても売上構成比が小さい、(3) 競合参入による価格圧縮、(4) ESCO型の長期契約は信用リスク(顧客倒産で残債回収困難)、(5) 規制改正の遅延・前倒しによる需要のブレ、の5点。
該当銘柄の見方
該当社では、(a) 省エネ関連売上の比率と方向感、(b) 受注残・パイプライン、(c) 営業利益率の推移、(d) 規制・補助金への依存度、を確認したい。
関連テーマの脱炭素・環境技術・再生可能エネルギー・スマートシティ・工場自動化 を併読すると、省エネ関連の周辺市場が把握できる。