このテーマとは

IoT(Internet of Things)は、各種機器・センサー・装置をネットワークに接続し、データ収集・遠隔監視・制御・最適化を行う技術領域。製造業の生産設備、社会インフラ(道路・橋梁・水道・電力)、ビル・住宅、農業(スマート農業)、物流(位置追跡)、ヘルスケア(ウェアラブル)、自動車(コネクテッドカー)など、応用範囲は極めて広い。

本テーマには、(1) IoT対応センサー・モジュール・通信機器メーカー、(2) IoTプラットフォーム(データ収集・蓄積・分析)、(3) IoT向けクラウド・AI、(4) IoT通信回線・MVNO、(5) IoTセキュリティ、(6) IoT応用ソリューション(製造業向け予知保全SaaS、農業向けセンシングなど)、まで広く該当する。

なぜ注目されているのか

IoTは、5G・LPWA(低消費電力広域通信)・センサー小型化・クラウド・AIの進展で、ようやく「広範な実用フェーズ」に入ってきた領域。IoTデバイス数は世界で2030年に250億台超まで拡大すると予測されており、関連市場は機器・通信・ソフトウェア・アプリケーションの全レイヤーで成長を続ける見通し。

需要の中心は、製造業の予知保全・遠隔監視・トレーサビリティ、インフラの老朽化対策(橋梁・トンネル・上下水道のIoT点検)、ビル・住宅のエネルギー管理(BEMS/HEMS)、農業のスマート化(センサー+AIによる栽培最適化)、物流の位置追跡・コールドチェーン管理、ヘルスケアの遠隔モニタリング、自動車のコネクテッド機能、と業種横断的に広がっている。

技術トレンドとしては、(1) エッジAI(クラウドではなく機器側でAI処理)の普及、(2) 衛星IoTの実用化(地上回線が届かない場所での通信)、(3) 産業用5G(プライベート5G)の工場導入、(4) IoT機器のセキュリティ強化(IoT機器の脆弱性を起点とするサイバー攻撃対策)、が中心になっている。

ただし、IoT市場は「センサーは安いがソリューション化に時間がかかる」性格を持つ。実証実験フェーズで終わるプロジェクトも多く、本格的な収益化には業界・用途ごとの長期営業活動が必要。

関連する事業領域

含まれる業種は、電気機器(センサー・通信モジュール・産業機器)、情報・通信業(IoTプラットフォーム・SaaS・クラウド)、機械(産業機器・工作機械)、サービス業(IoTソリューション提供)、その他製品(家電・ビル設備)、卸売業(IoT機器商社)など。

IoTのサブテーマとしては、(a) 産業用IoT(製造業・工場)、(b) インフラIoT(橋梁・道路・水道)、(c) スマートシティ・スマートホーム、(d) スマート農業、(e) ヘルスケアIoT・ウェアラブル、(f) コネクテッドカー、で技術要件・市場規模・成長性が異なる。

財務的にどう評価するか

IoT関連企業の評価軸は、(a) IoT関連売上の構成比、(b) ハード(センサー・機器)/ソフト(プラットフォーム・SaaS)/サービスの比率、(c) ストック収入(通信回線料・SaaS利用料・保守料)の比率、(d) 営業利益率、を見る。ハード中心の企業は粗利率が薄く(10〜15%)、SaaS型・ストック型の企業は粗利率60%超を取りやすい。

IoTセンサー・モジュールメーカーは、出荷数量・1台あたり単価・主要顧客(自動車・産業機器・通信事業者)の動向で売上が動く。半導体不足・部品サプライチェーンの変化が短期業績に影響しやすい。

落とし穴は、(1) 「IoT関連」と打ち出していても売上構成比が小さい、(2) 実証実験どまりで本格収益化できていない、(3) ハードコモディティ化で粗利が薄くなる、(4) IoTセキュリティ事故で訴訟・賠償リスク、(5) 通信規格・プロトコルの標準化遅れによる設備陳腐化、の5点。事業セグメントでIoT関連売上と利益貢献を確認したい。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) IoT関連売上の比率、(b) ハード/ソフト/サービスの構成、(c) ストック収入比率、(d) 主要応用領域(製造/インフラ/農業など)、を確認したい。

関連テーマの5Gスマートシティ工場自動化クラウドビッグデータAI を併読すると、IoTを取り巻く通信・データ処理・応用領域が把握しやすい。