このテーマとは

自動車部品は、完成車メーカー(OEM)に対してエンジン・トランスミッション・電装品・内装・タイヤ・電池・センサー等を供給する膨大な裾野産業の総称。日本は自動車産業が製造業GDPの約2割を占め、Tier1(一次サプライヤー)からTier3まで多層構造で成り立っており、地方経済の雇用・税収を支える基幹産業でもある。

本テーマには、エンジン・駆動系・足回りといった伝統的な機械部品メーカーから、車載半導体・センサー・カメラ・ECU(電子制御ユニット)といったエレクトロニクス系部品メーカー、電池・モーター・インバーターといったEV関連部品メーカー、さらに金属加工・樹脂成形・ゴムなどの素材系まで広く含まれる。

なぜ注目されているのか

足元の最大のテーマは、内燃機関(ICE)車から電動車(BEV/HEV/PHEV/FCEV)への移行に伴う部品構造の大変化である。BEV1台あたりの部品点数はICE車の約半分とされ、エンジン・トランスミッション・燃料系統といった部品の需要は構造的に縮小する一方、駆動用モーター・インバーター・電池・電池冷却系・パワー半導体といった電動化部品の需要は2030年代を通じて拡大が見込まれる。

電装化(CASE:Connected/Autonomous/Shared/Electric)の進展も、車両1台あたりの半導体搭載額を急増させている。ADAS(先進運転支援)・自動運転向けセンサー(カメラ・LiDAR・ミリ波レーダー)、車載ディスプレイ、車載通信モジュールといったエレクトロニクス部品の搭載点数が伸びており、電気機器・半導体メーカーが自動車サプライチェーンに新規参入する動きが加速している。

一方、構造変化の裏返しとして、ICE専業のサプライヤーは事業転換を迫られている。エンジン部品・燃料噴射系・排気系メーカーは、EV化が進むほど主力事業が萎縮するため、電動化部品・他用途展開・M&Aによる事業再編が経営課題となっている。

関連する事業領域

含まれる業種は、輸送用機器(自動車部品Tier1)、機械(工作機械・精密部品)、電気機器(車載半導体・センサー・ECU)、ゴム製品(タイヤ・防振ゴム)、ガラス・土石製品(自動車用ガラス)、化学(樹脂・接着剤)、鉄鋼・非鉄(鋼板・アルミ)など多岐にわたる。

「自動車部品銘柄」と一括りにすると、ICEエンジン部品なのか、電動化部品なのか、内装・外装なのか、半導体・センサーなのかでEV化への耐性が全く違う。事業ポートフォリオを分解して、ICE依存度と電動化売上比率を確認する作業が不可欠になる。

財務的にどう評価するか

自動車部品メーカーは、完成車メーカーの生産台数に売上が連動する装置産業で、利益率は伝統的に低め(営業利益率5〜8%が標準)。粗利率の中期推移と、設備投資(CAPEX)/減価償却の比率がまず見るべき指標になる。

電動化対応の投資負担は重く、ICE時代の利益で稼いだキャッシュを電動化設備に振り向けている局面の企業も多い。フリーキャッシュフロー(FCF)が継続的にプラスを維持できているか、有利子負債が膨張していないかを確認したい。自己資本比率40%以上、ネット有利子負債/EBITDA倍率で2倍以下程度なら、電動化投資を吸収できる財務余力があると判断できる。

落とし穴は2つ。第一に、PER10倍以下で「割安」に見えても、ICE依存度が高くEV移行で売上が消える可能性のある企業は、ピーク利益基準で評価する必要がある。第二に、特定の完成車メーカーへの売上依存度が高い企業は、その親会社の業績悪化や系列再編で一気に業績が動く。有報の「主要販売先」セグメントで顧客集中度を確認したい。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) 電動化部品の売上比率と中期計画でのICE依存度の方向感、(b) 営業利益率・FCFの推移、(c) 主要顧客の構成と特定OEMへの依存度、(d) 自己資本比率と有利子負債、を確認したい。

関連テーマのEV車載半導体自動運転パワー半導体蓄電池 を併読すると、自動車サプライチェーンの上下流構造と電動化の波及範囲が掴みやすい。