このテーマとは

ESG(Environmental・Social・Governance)は、企業の持続可能性を環境・社会・ガバナンスの三軸で評価する投資・経営の枠組み。気候変動対応・人権・労働環境・取締役会の独立性・株主還元・情報開示といった、財務諸表に直接表れない要素を「マテリアリティ(重要課題)」として捉え、中長期の企業価値に結びつける考え方。

本テーマには、(1) ESG経営に積極的に取り組む大手企業、(2) ESG関連事業(再エネ・省エネ・環境技術・サーキュラーエコノミー)の供給側企業、(3) ESG情報開示・評価支援を提供する企業(ESGコンサル・データプラットフォーム・スコアリング)が含まれる。

なぜ注目されているのか

2010年代までESGは「責任投資の倫理的選好」と見られていたが、2020年代に入り「制度として組み込まれる経営前提」に変わった。EUのCSRD(企業サステナビリティ報告指令)、IFRS財団のISSB基準、日本の有価証券報告書でのサステナビリティ情報記載義務化(2023年3月期〜)など、ESG情報開示の制度化が急速に進んでいる。

特に気候関連情報(TCFD準拠の開示)は、プライム上場企業にとって事実上の必須項目となり、Scope 1・2・3排出量、移行計画、シナリオ分析が有報・統合報告書で開示されている。さらに有報では人的資本(女性管理職比率、男性育休取得率、賃金格差)の開示も必須化され、企業はESG関連データの体系的な収集・開示体制の整備を迫られている。

投資家側も、機関投資家のスチュワードシップ・コードがESG要素の考慮を求め、ESGスコアを組み入れたパッシブ運用やテーマ型ファンドが拡大している。日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はESG指数連動運用を継続しており、ESG評価の高低は資金フローに影響を与える。

ただし、欧米ではESGに対する反動(特に米国の州レベルでの反ESG法制)も出ており、ファンド名称からESGを外す動きや、グリーンウォッシング規制の強化も同時に進む。「ESGバブル」段階は終わり、実質を伴う取り組みのみが評価される選別段階に入っている。

関連する事業領域

ESGは特定業種ではなく、上場企業全体の経営課題として浸透している。本テーマで該当する企業は、ESG経営を打ち出している大手企業に加え、ESG関連事業を供給する企業(再エネ・省エネ・環境技術・水処理・リサイクル)、ESG開示支援サービス(情報開示SaaS、ESGコンサル、データベンダー)が中心。

特にESG情報開示の制度化に伴い、CO2排出量計測SaaS、サプライチェーン情報管理ツール、ESG評価データプラットフォームなどの周辺市場が拡大している。

財務的にどう評価するか

ESGテーマの株は、(1) 直接的に「ESG関連事業」を供給する企業(再エネ・省エネ・水処理・リサイクル等)、(2) ESG経営の取り組みが企業価値向上に効いている企業、(3) ESG開示支援サービス事業者、で評価軸が異なる。

(1)の場合は、各サブテーマの財務評価軸(売上成長率・粗利率・受注残)を適用する。(2)の場合は、ROE・株主還元(配当性向・自社株買い)・取締役会の構成といった伝統的な株主価値指標と、ESGスコア(MSCI・FTSE・Sustainalytics等)の改善度を併せて見る。(3)の場合は、SaaSビジネスの評価軸(ARR成長率・解約率)が中心になる。

落とし穴は、(1) ESG関連事業の売上比率が小さい「グリーンウォッシング」企業、(2) ESGスコアが高くても本業の収益力が低い企業、(3) 政策・補助金に依存した収益構造、の3点。中期経営計画でESG関連売上の目標と進捗を確認し、本業の収益力(営業利益率・FCF)と整合しているかを見たい。

なお、ESG投資はリターンが市場平均並み〜やや劣後との実証研究もあり、ESGテーマ単体での超過収益期待よりも、長期的な事業リスク管理と捉える方が現実的である。

該当銘柄の見方

該当社では、(a) ESG関連事業の売上比率と中期計画、(b) ROE・株主還元・取締役会構成、(c) ESGスコアの推移、(d) サステナビリティ情報開示の質(TCFD準拠・人的資本開示)、を確認したい。

関連テーマの脱炭素再生可能エネルギーサーキュラーエコノミー株主還元環境技術 を併読すると、ESGの構成要素別の市場機会が掴みやすい。